令和4年9月8日(木)が、二十四節気の「白露(はくろ)」でした。処暑から白露までのお天気は以下の通りです。天理市乙木町における感覚的観測データです。〇=晴れ。△=曇り。✕=雨。〇/✕=晴のち雨。〇|✕=晴時々雨、△:✕=曇り一時雨。
 824|、25|〇:✕、26|27|28、29|、30|/✕31|、9月1△|✕2✕/|〇、3|〇/激雨、4|、5|、6|、7△|
 
 相変わらずよく雨が降ります。畑の土の乾く間がなく、収穫にも影響が出始めています。その中にあって、洋綿の実もはじけはじめました。綿の実が割れて繊維があふれ出ることを、かつて(江戸時代)は、「綿が吹く」と表現したようです。今年の洋綿の開絮確認(洋綿の吹き初め)は1号畑で、8月25日です。

 つきましては、2022年の木綿庵の公式記録として、綿の開絮確認(吹き初め)は和綿8月12日、洋綿8月25日とさせていただきます。

 ところで、今年は洋綿の畝で、明らかに品種の異なる花、葉の姿が見られます。その数は1号畑で37株中の10株におよびます。この畝ではたしかにアプランド種を播いたはずですが、異品種10株は、昨年に初めて試験栽培した稀少種(最高クラス)の超長繊維綿と同じ姿をしています。最初は、何かの手違いで超長繊維綿の種が混入した可能性を疑いましたが、その後、当方の洋綿の種を購入してくださった方からのご報告を受け、交雑の可能性が高いと判断いたしました。

 ある方からは、「赤い花、ピンクの花が咲きました。何の綿でしょうか?」とのご連絡をいただきました。アプランド種は、初日が淡いクリーム色で、夕刻から紅く染まりはじめ、翌日には赤い花になります。その旨をお伝えさせていただきましたところ、「初日から赤い花が咲いたのです!」とのこと。初日から赤い花が咲くのは、茶綿、緑綿です。

 当方では、2020年に茶綿、緑綿をアプランドと同じ畑で栽培した事実はあるものの、2021年は、茶綿、緑綿は一切栽培をいたしておりません。したがいまして、2020年に交雑した結果が、2021年を隔てて2022年に出現したものと思われます。

 同様に、2021年に交雑が生じ、アプランド種として収穫された実綿の種が、異品種(超長繊維綿)の因子を有し、結果としてその因子が2022年に出現したものと思われます。
 
 たいへんわかりにくい説明で申し訳ありませんが、その種が有するもう一つの別の因子が、数年を経て出現する現象は、植物の世界ではけっして珍しい現象ではないそうです(メンデルの法則)。

 ちなみに、本年に当方の洋綿の種をご購入、栽培くださいましたみなさんにお送りした書面を添付させていただきます。
page001
 種の扱いについて、またお分けさせていただく際の説明の仕方について、今後はこれまで以上に細心の注意をさせていただきたいと思います。

 さて、綿の収穫作業については、多雨時対策として、はじける前の蒴果(緑のコットンボール)を摘み取り、ハウス内で弾けさせる、という方法も取り入れています。コットンブランチも同様です。個体差もありますが、おおむね、きれいにはじけてくれます。

 今後のお天気の回復(安定した晴天が続くこと)を祈るばかりです。

 以下の写真は、アプランドのコットンボールが畑ではじけた様子、アプランドの緑の蒴果、アプランドの花、異品種(超長繊維綿)の花、異品種の緑の蒴果、異品種の葉姿、アプランドの蒴果を摘み取った状態、その蒴果がハウス内で弾けた様子です。

image20
image10
image11
image0 (50)
image0 (49)
image0 (48)
image22
image21
image30
image31


なお、2022年(令和4)年度の、当方の綿の栽培面積は、1号畑、315㎡。6号畑、380㎡。7号畑、245㎡。11号畑、83㎡。合計1,023㎡(310坪、約1反)です。